
7月の法語は「人生は 勝ち負けだけで はかれない」です。
先月から開催されている「サッカーワールドカップ」には史上最多の48か国が参加しました。そのうち、頂点を極めるのはたったの1か国ですから、選手には身体能力だけではなく、相当な精神力や努力が要されることでしょう。
スポーツ哲学者のヘザー・リードは「人は幸が不幸か、人間の卓越性をみることだけでは満足できない。もっとも優れた者を選び取る勝ち負けに魅了されてきた」と言われました。英雄には誰もが憧れるものですし、より強い者を求めるのは人間だけではありません。あらゆる生物が生き残りをかけてより強い種を守るため、無意識のうちに「強いモノ」を要求してきたのです。
しかし、人間には「負けを知る者」にしか持ち得ることのできない「強さ」があります。2016年のリオデジャネイロオリンピックでレスリング女子の解説を担当された吉村祥子さんは、金メダルを逃した吉田沙保里選手について「負けを知った強みが生まれた!!」とコメントされました。
勝ち続ける人生などありません。私たちは生まれた以上、誰もが恐れる「老・病・死」にいつか必ず飲み込まれてしまいます。その思い通りにならない出来事を通して、たくさんのご縁に生かされていることを知り、ますます人生が深められていくのではないでしょうか。
負けを知る強さは、勝ち続けることによってすり減っていく精神を包み込み、勝敗を超えた世界を知らしめるのです。



