6月の法語は「人間は 執着したものに ふりまわされる」です。
兜町の風雲児と言われた中江滋樹さんが今年の2月に亡くなりました。投資ジャーナルで騒がれた当時、600億近くの大金を扱った彼の晩年は、生まれ故郷の近江八幡市に帰り、家賃5万円もしない六畳一間のアパートでたった一人、寝たばこが原因の火災に焼かれて亡くなりました。「もう一度勝負がしたい。誰か私に一億円貸してくれ」と知人に漏らしていたそうです。
一方、イトマン事件で世間を騒がせた許永中は今もすこぶる元気です。「あのバブルの時代には、自分と同じように騙しだまされながら大金を動かした人間はたくさんいたが、ほとんどの人間が潰れていった。私が今でも心身ともに元気でいるのは、金の上に座っているからだ。潰れた人間はみんな、金を追いかけた。私はこの金を日韓問題の修復のために使いたい」と激白しているようです。
この二人の分け目は、お金への執着心でしょう。お金が人間を幸福や不幸にするのではありません。人間のお金に対する執着心が自分自身を幸せにも不幸にもするのです。