5月の法語は「コロナが人間を卑劣にしたのではありません もともと卑劣であった人間のすがたが この度 浮き彫りになったのです」です。
4月に緊急事態宣言が発令され、前代未聞の不安な日々が続いています。次第に人間の心が痩せ衰え、言葉の刃が他者に向けられている光景を目にする度、悲しい現実に胸が痛みます。
この出来事を知った時、私は「仕方ない」と思いました。京都へ頻繁に行く者として、生活圏を脅かされたという思いが大きかったからです。しかし間もなく、世の矛先が電話の発信元に向けられると、私の心に「なんて卑劣なことをする人たちだ」という思いが生まれました。
身近なところでは、京都で集団感染が発生し、外国帰りの学生が通っていた大学に嫌がらせの電話が相次いだそうです。
このように、私たちはあらゆる出来事を自分の都合で評価して生きています。その背景にある「自分は正しい」と信じてやまない思いこそが卑劣なすがたの原点なのではないでしょうか。