7月の法語は「人間は トラブルによって 育てられる」です。
気合いを入れて出かける日に限って雨が降ったり、忙しい時に限って予想外の用事が舞い込んだり・・・些細なことから大きなことまで、人生は思い通りにならないことばかりです。
無意識のうちに、何もかも思い通りにしたいと思ってしまうのが人間ですが、思い通りにならないことを通して柔らかな人間に育てられるのではないでしょうか。
自分の描いた理想を叶えるために努力をしますが、皮肉なことに、思い通りの生活が続くと、人間は謙虚さを忘れて頑固になってしまいます。堅い木ほど折れやすく、竹や柳のようにしなやかなものには復元力がある様子から、定期的にやってくるトラブルは、思い通りにならないこの世の理(ことわり)に気づかせ、疑ってやまない自己の価値観を問い直せとの催促だと教えられます。トラブルは誰もが回避したいものですが、その時の混乱は、実は、頑固な自分が柔らかくなろうとしている葛藤のあらわれ、いわば成長過程だったのです。
仏教は「仏さまに自分のありさまを学ぶ教え」です。行き詰まっても、混乱しても、いつでも立ち返ることのできる教えに自己のすがたを問いなおすことによって、どうにもならないことをどうにかしようともがき苦しんでいる自己に気づかされるのです。
※追記※ 「自分」に「自我」が含まれる場合が「自己」