７月の法語は「人は 自己の平和のために 争う」です。
ロシアのウクライナ侵攻が始まったのは昨年２月のことでした。そして世界には今もなお紛争中の国が５０ほどあると言います。その原因の多くは宗教上の争い、土地・資源の奪い合い、文化・民族性の差異等だそうです。つまり、争いごとの根底には自己の正当性を確立し、自己の富を手に入れようとする「私が！ 私が！ 私が！！」という思いが流れているのです。これは戦争や紛争だけの話ではありません。私たちの人間関係においても、同様です。
現代人は他者との関わりに煩（わずら）わしさを感じ、なるべくシンプルに生きようとする傾向にあるそうですが、頼りにしているテレビやインターネットの情報を発信しているのは偏見を持った人間ですから、その偏りはとどまることがなく、ますます正しいものの見方ができなくなっています。
『華厳経』というお経の中に「凡夫の心は邪見に堕し・・・・三界の地に於て苦悩の芽を生ず」という言葉があります。自分勝手な偏ったものの見方によって、この世において苦しみが生まれていくという意味です。苦しみの原因は外ではなく、何もかも思い通りにしたいと願う私の中にあるのです。
