11月の法語は「心を澄まして 声なき声を聴く」です。
空気が乾燥し、星が美しく見える季節になりました。視力が低かった私は、初めて眼鏡をかけて夜空を見たとき、あまりの星の数の多さに感動したことがあります。星空はあの頃となにも変わっていないのに、大人になった私は目先の用事にばかり心をとられ、年々心の視野が狭くなっているようです。
その昔、先人たちは星がもたらすわずかな情報を手掛かりに大海原を航海したり、種蒔きの日取りを決めたりしていました。現代はクリックひとつで世界中の情報を入手できるようになりましたが、安易に答えを得ることができる生活は、慌ただしさという副産物を私たちに与え、時間と心を奪っていきました。
ありのままの世界はどんな時でも沈黙のままで、私たちを包んでいます。その沈黙と向かい合い、声なき声を聴きとることができる時間を心を持てば、ちっぽけなことに執着している自分自身が鮮明に見えてきます。