9月の法語は「比べる心【憍慢心(きょうまんしん)】から苦しみが生まれる」です。
私たちは「比べる世界」で生きています。勝ち負け、損得、良し悪しなどを重視する世界で、血眼になりながら人よりも優位に立とうともがいているのです。
しかし、思い通りにいく人生などありません。人間が「苦しみ」を実感するとき、誰かと比べて「どうして私がこんな目に遭わなくちゃいけないんだろう」という思いが存在します。一方、思い通りになり、自分が優位に立ったときには、他者を見下して思い上がる気持ちも出てきます。これらの他者と比べて喜んだり悲しんだりする心を「憍慢心（きょうまんしん）」と言います。
私たちは偶然生まれたからには、必ず死ぬという死因を抱えています。その一生のなかで、様々な「縁」により、病や老いになります。時には予想外の出来事も起こりますが、仏教はこれも「縁」だと教えます。
「憍慢心」という苦しみの原因と、「縁」という出来事の仕組みを知らされ、私たちは、どのような現実であってもしっかりと受け止めていく生き抜く力を与えられているのです。
