4月の法語は「今日に満足できずに、一体いつ満足できるのか」です。
私たちが寒さの厳しい冬を我慢できるのは、春が来るのを知っているからではないでしょうか。しかし、いざ春になってみると、草木の開花に胸を躍らせたのも束の間、花粉の飛散にうんざりしてしまいます。それでも「もう少しの我慢！！」と自分に言い聞かせて辛い時期を耐え忍ぶものの、楽になる頃には梅雨を迎え、また我慢の時期を迎えるのです。そして灼熱の夏がやって来ると、今度はひたすら涼しくなるのを待って、やっと落ち着いたかと思えば、次は落ち葉とのたたかいが始まります。そうこうしているうちにまた寒い冬がやって来て「そのうち、そのうち・・・」と思っているうちに一年が過ぎ去ったことを思い知らされ、寂寥感に苛まれるのです。
フランスの哲学者・パスカルは「明日こそ幸せになるぞと言って、今日を明日のための準備期間にしている人は、死ぬまで準備をしているだけで幸せにならずに終わるだろう（筆者意訳）」と言います。問題の先送りはどこまでいっても未解決のままです。今日という一日を完全燃焼して終われたら良いのですが、そうできないところに私という人間の昏さと、そのような私だからこそ包もうとしてくださるはたらきがあることを教えられます。
