ryusenji's blog

掲示板法語と寺報を中心にアップします。

2023.3 掲示板法語

2023.3 掲示板法語

 3月の法語は「カタチがないからこそ 壊れない」です。

 

 3月に入り、以前のような厳しい寒さもだいぶ和らいできました。外に出ると、梅が開花し、水仙が芽吹き、鼻がムズムズするのを感じて、長かった冬の終わりを知らされます。こうして毎年、何か漠然とした「春」が現前するわけではないのですが、様々な自然のはたらきによって、確かな春の到来を実感します。

 

 それと同様に、仏事を機会として有縁の人々が集い、仏さまの教えにあわせていただくことができるのは、縁となった亡き人のはたらきです。もう二度と声をきくことや、触れることや、顔を見ることはできませんが、世間の価値観を超えたひろやかな世界を知らしめる尊いはたらきとして、亡き人は確かに遺された人たちを包んでいます。亡き人は肉体というカタチこそ失ってはいるものの、大切な人々を仏法の場へと運ばせたのですから、そこには確かに亡き人の導きがはたらいているのです。

 

 この世で生じたあらゆるものは必ず滅していきます。この理(ことわり)を「諸行無常」と言います。目に見えるもの、カタチあるものは必ず壊れるということです。厳しい現実ですが、これが真実です。しかし、その反対にカタチなきものは壊れようがありません。私たちは目に見えるものだけが全てだと思い、カタチあるものに執着しますが、「見えないこと」と「ないこと」が一緒とは限りません。カタチなきものこそ、永遠なのです。