11月の法語は「私は間違っていない という思いが 間違い」です。
時の経過は残酷なほどに早く、年賀状やおせち料理の折込チラシを見かけるようになりました。中国の五行思想では、人間の一生を「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」というように、季節の動きの中に見ていきます。
色と四季の組み合わせには、年齢を重ねるとともに角が取れて、何でも寛容に受け止めることができるようになる様子もうかがえるような気がしますが、悲しいことに、誰もがそうとは限りません。
あるご高齢のご婦人が足を引きずりながら聞法の場に来られました。倒れ込むように椅子に着かれるやいなや「年を取ると怒ってくれる人がみんな亡くなられて、どんどん頑なになってしまいますから、多少無理してでもこの場に来ました。今日は仏さまに怒られに来たんです」と仰いました。
私たちはみんな自分の価値観を疑うことなく、それを振りかざして生きています。その価値観が本当に正しいのか、一度立ち止まり、仏さまの教えに自分の生き方を問うことが人生の「玄人」の生き方なのではないでしょうか。