8月の法語は「自分の価値観にあてはめた正義は 相手を傷つける」です。
人は一生の間に、一体どれだけの人と出会うのでしょうか。気の合う人とだけ付き合うことができたなら、摩擦が起きることもないのでしょうが、そういうわけにもいきません。時にはびっくりするような言葉を浴びることもあります。そして、瞬時にこう思います。「普通はこんなこと言わないよなぁ、常識がないんじゃないか・・・」と。
しかし、この「普通」とは、「常識」とは、一体何なのでしょうか。私たちは、自分独自の価値観をもとに「正義」を作り出し、その枠からはみ出る人を無意識のうちに心の中で排除して生きているのです。そこには必ず傷つけ合う世界が生まれます。
金子みみすゞさんは『わたしと小鳥とすずと』という詩のなかで「みんなちがってみんないい」と言われますが、渦中の真っただ中に身を置いた時、この通りに思えるでしょうか。
人はみな顔が違うように、考え方も異なって当たり前だと分かっていながら、どうしても自分の価値観に当てはめた「正義」を振りかざしてしまう、この私のあり様をしっかりと見つめていかなければなりません。