ryusenji's blog

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 9月の法語は「親ガチャなんて 言わせない」です。

 

 ここ数年のうちにインターネット上で生まれた「親ガチャ」という俗語が話題を呼んでいます。生まれもった容姿や能力、家庭環境によって人生が大きく左右されるという認識に立ち、生まれてくる子供は親を選ぶことができないことをスマホゲームの「ガチャ」に例えた言葉のようです。しかもこの言葉は、おおよそ「アタリ」の場合には使われず、「ハズレ」の要素を含んだ上で普及しています。つまり、自分の意思とは関係のないところで私がつくられたということを前提にして「親ガチャ」という言葉は浸透しているのです。

 

 しかし、七高僧のお一人である善導大師は「私が生まれたいと願ったことを因とし、父母が縁となって、この世に誕生することができたのだから、父母には大恩がある(筆者意訳)」と考えられます。この思想は善導大師お一人が主張されたものではなく、道教を大切にする中国全土で常識となっていたようです。

 

 日本では、上記のような考え方どころか「親ガチャ」が流行っていますが、辞書には春の彼岸を「自然を讃(たた)え、生命を慈(いつく)しむ一週間」、秋の彼岸は「先祖を敬(うやま)い、亡き人を偲ぶ一週間」と位置付けられています。私が誕生する縁となってくれたご先祖さまに感謝し、たくさんの生命の犠牲の上に成り立っている今の暮らしを思い、わが身に責任をもって歩んでいきたいものです。