11月の法語は【仏教は私を「安心（あんしん）」ではなく「安心（あんじん）」に立たせる教え】です。
今年になって、疫病退散のご利益があると言われている「妖怪アマビエ」が話題になりました。和菓子をはじめ、お守りやマスクのデザインにされるなど、大流行したようです。
私たちは仏教に対しても、私の生活を邪魔するものを排除し、不安要素を取り除いて、安らかな心境を目的とする気持ちがあるのではないでしょうか。この場合、私が求めているのは「安心（あんしん）」という、平穏無事に人生を歩んでいきたいという思いです。
しかし、仏法を聞いたからと言って、病気が治るわけでも、困難な出来事が起こらないわけでもありません。たとえ、人生に不安要素があったとしても、これだけは変わらないという拠り所をしっかりと心に安置することを「安心（あんじん）」と言います。
理想と現実が乖離すると「私の人生こんなはずじゃなかった」と思いますが、どんなに悔やんでも、時間を戻すことはできません。「今、ここで、こうしている」その現実を全身で引き受けて生き抜くことを仏教は教えているのです。
事実のままに受け止めていくことが私たちに与えられた課題なのです。
