3月の法語は「人生が順調に進まないからこそ 仏法が聞けるようになるのです」です。
「人生山あり谷あり」と言いますが、山(=良い出来事)よりも谷(=辛い出来事)のほうが明らかに多いのではないでしょうか。
私たちは、自己中心的な考えをもとに、人生に降りかかるあらゆる出来事を、良いか悪いか、二分割します。そして良い出来事だけを自分の人生に取り込み、悪い出来事は排除しようとします。
この分ける心に着目したのが仏教で、この心こそが苦の発端だと教えます。つまり、自己中心的に分ける心が自分自身を苦しめていたのです。ですから、分けない世界からの呼びかけを聞き、立ちかえっていく必要があります。
いつでも素直に聞くことができたら良いのですが、私たち人間はそれができないものです。人生が思い通りに進んでいるうちは、傲慢になり、なかなか耳を向けることができません。つまずき、時には転倒して初めて、仏さまの目当てが私であったことを知らされます。
仏法(仏さまの教え)を聞かなければならない程の迷いや苦しみを与えてくれた人もまた、仏さまからのプレゼントなのです。